少子化の昨今、産婦人科医の数はかなり減ってきています。
その一方で注目されるようになってきたのが「助産師」です。
助産師の基礎知識
助産師とは、まさに「お産を助ける人」の意味で、
出産を控えた妊娠中の女性を助ける仕事です。
端的に言うと、「出産の際に赤ちゃんを取り上げることを生業とする人」です。
古くは「産婆さん」と呼ばれていましたが、
2002年の保健師助産師看護師法によって
「助産師」という名称で呼ばれるようになり、
れっきとした国家資格にとなっています。
(ちなみに男性は助産師になることはできません!)
看護師との違い
助産師の資格は、看護師の資格にプラスαで取得します。
つまり、看護師だけど助産師じゃない人は存在するけど、
看護師資格を持たない助産師は存在しないということです。
そのため、看護師と混同されることが多いのですが、
明確な違いがあります。
① 助産師は、正常な分娩なら、医師の指示なく助産行為を行うことができる
② 単独で「助産院」を開院することができる (つまり独立開業できる!)
助産師はどこで働くの? お給料は?
独立開業はできるものの、9割方は病院や診療所で働いています。
その他には、助産院(病院ではない)や保健所などで働かれている方もいます。
お給料は、統計上、25万円~35万円くらいが相場です。
今のご時世としては、決して悪いお給料ではないと思います。
助産師の労働環境は?
気になる労働状況なのですが、これは正直大変です。
というのも、出産は突然起こるもので、それが何時間かかるかも分からないからです。
そのため、勤務時間はどうしても不規則になりますし、
産婦人科医不足のため、助産師の勤務時間は長くなり、
休みもシフト制で、休日でも呼び出されることがあります。
またそれだけでなく、母子の生命を預かるプレッシャーものしかかってきます。
結果、自分が子どもを産み育てる時間がない!という声があります。
助産師は、責任のあるとてもハードな仕事と言えるでしょう。
助産師になるには
助産師になるには、国家試験に合格しなければなりませんし、
その前に看護師の資格を得て実務を1年以上経験しないと
助産師の試験を受けることができません。
ただ、4年制の大学で助産師を養成する課程を修了すれば
課程終了時点で、看護師と助産師、両方の試験を一気に受けることができます。
ちなみに、助産師の国家試験は、合格率が90%ほどなので、
大学などでしっかり学習をしていれば、まず不合格はないと思います。
問題は、その大学に入ることなのです。
助産師の課程をもつ(東京から通える)大学
2015年現在、実は、これが本当に少ない。
東京なら8校あるが、実際に23区から通えるのは6校くらい。
(大学所在地が首都圏でも、その学部が遠方にあったりして通学が困難)
その大学とは、
北里大学、杏林大学、慶応大学、順天堂大学、東京家政大学、国立看護大学校
対象を全国に広げても80校ほど。
必然、国家試験は簡単だけど、そもそも大学に入るのが困難という状況になる。
以下に、大学ごとに、学部所在地、試験科目、偏差値などをまとめておきます。
(年度によって変わることがありますので、必ず願書で確認しておきましょうね)
北里大学(看護学部)
◆ 偏差値61
◆ 相模原キャンパス (〒252-0373 神奈川県相模原市南区北里1丁目15の1)
小田急線相模大野駅から神奈川中央交通バスで25分、北里大学病院・北里大学下車
◆ 2教科(200点満点) 英語+選択×1(数ⅠA・化学基礎・生物基礎)
ただし、数学はⅠAだけで、理科も「基礎」範囲だけなので、
英語さえできれば可能性は十分あると考えることができます。
杏林大学(保健学部)
◆ 偏差値58
◆ 三鷹キャンパス (〒181-8611 東京都三鷹市新川6丁目20の2)
JR中央線吉祥寺駅・三鷹駅、京王線仙川駅・調布駅からバスで、杏林大学病院前下車
◆ 3教科(350点満点) 英語+選択×2(数ⅠA・国語・物理基礎・生物基礎・化学基礎)
* 国語には古文・漢文は含まれない
* 英語のみ配点が150点
数学はⅠAのみ、理科も「基礎」範囲のみなので、かなり準備はしやすい。
偏差値58は日大や法政・青山の理系とほぼ同じランク。
23区から通うなら、ここが一押し!
帝京平成大学(ヒューマンケア学部看護学科)
◆ 偏差値48
◆ 中野キャンパス (〒164-8530 東京都中野区中野4丁目21の2)
JR中野駅から徒歩9分
◆ 2教科(200点満点) 選択×2(英語・数ⅠA・国語・生物・化学)
* 面接あり
* 英語と国語の組合わせは不可
場所が中野駅すぐで、都心で通える看護系として貴重な存在。
一方、大学としての格は低く、入ってからの学習に不安が残る。
理科は「基礎」だけではないので、難易度が高く、英数か数国が無難。
慶応大学(看護医療学部)
◆ 偏差値64
◆ 湘南藤沢キャンパス (〒252-0882(看護医療0883) 神奈川県藤沢市遠藤5322)
小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄湘南台駅下車、バス約15分。
◆ 2教科(500点満点) 英語+選択×1(数ⅠⅡAB・生物・化学)
* 小論文と面接もあり
科目は2科目と少ないが、かなりの実力がないとムリ。
また小論文があることにも注目。
医療や時事のテーマに精通していないとまず書けない。
場所は3年生の時だけ四谷校舎だが、それ以外は遠くて首都圏からの通学は困難。
順天堂大学(医療看護学部)
◆ 偏差値57
◆ 浦安キャンパス (〒279-0023 千葉県浦安市高洲2丁目5の1)
JR京葉線新浦安駅からバス5分
◆ 3教科(300点満点) 英語+国語+選択×1(数ⅠⅡA・化学・生物)
* 国語には古文・漢文は含まれない
* 面接あり
杏林との違いは、数学に数Ⅱが入ること、理科が「基礎」範囲だけではないこと。
ゆえに、ここを受けるなら理科を避けて、英国数の3教科で受けるのが良い。
東京家政大学(看護学部)
◆ 偏差値53
◆ 狭山キャンパス (〒350-1398 埼玉県狭山市稲荷山2-15-1)
西武池袋線稲荷山公園駅下車徒歩3分
◆ 3教科(300点満点) 英語+選択×2(国・数ⅠA・化学基礎・生物基礎)
* 国語には古文・漢文は含まれない
数学はⅠAのみで、理科も「基礎」範囲のみ。対策はとても立てやすい。
だが、場所が埼玉の狭山なので、23区から通うにはやや遠い。
国立看護大学校(看護学部)
◆ 偏差値56
◆ 本キャンパス (〒204-8575 東京都清瀬市梅園1丁目2の1)
西武池袋線清瀬駅下車、バスで約5分、または徒歩15分
◆ 4教科(420点満点) 英語+国語+数学ⅠA+理科(120)
* 理科は化学基礎、生物基礎、生物から出題される
* 2次試験として面接が課される
とはいうものの、実際は入ってしまえば大学とほとんど変わらない。
受験上の違いは、センター試験が課されないということくらい。
看護としては科目が多く、生物は「基礎」範囲をこえるので、他の私大よりは対策に力が要る